intermission II

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会話文(治影)

・くじ引きで小咄書いたときのやつです。
・カップリング:治影、テーマ:「漫才ノリ」







「宮さん、起きてください」
「ん……? どこやここ……て、お前影山飛雄?」
「そうです。俺もさっき目ぇ覚めたんですけど、俺ら、この白い部屋に閉じ込められてるみたいなんです」
「……いつかは来るやろなて思うてたけど……ついに俺にも来よったか……」
「宮さん知ってるんですか?」
「おお、うん……たぶん、これは噂に聞く『○○せんと出られへん部屋』いうやつや。あそこにデジタル時計あるやろ。時間内に一定の条件満たさな出られんようになってんねん」
「え……何すればいいんですかね?」
「何やろな……影山悪いけど、ハグやらキスやらの類やったら俺即行でクリアしてここ出るで。彼氏彼女おる場合は早めに申し出りや」
「いません……けどマジですか。そういうやつなんですか」
「そういう系やって相場決まってんねん。けどおかしいなぁ。時計、3分で止まったまんまやな」
「普通は動いてるんですか?」
「どっちかが気ぃついた時点でカウントダウン始まらなおかしいと思うわ。……ん? あれ何?」
「あそこにあるスタンドですか? なんか、マイクみたいでした」
「嘘やろ」
「え?」
「ほんで足元に足形のプリントあるやん」
「そうっすね。マイクの前に並んで立つ感じで描いてあります」
「あかん」
「どうしたんすか?」
「これは……『漫才せんと出られへん部屋』や」
「はい? 漫才?」
「あかんやんもう……この時点であかん予感しかせえへん」
「俺どうしたらいいですか?」
「……立ちや」
「え、はい」
「ネタ打ちはナシや。漫才知らんボケと無理くり漫才やろうとするツッコミで乗り切るで」
「……はい?」

***

「えー、こっちの『漫才って何や?』って顔したボケの影山と、ほんまはボケがやりたいツッコミの俺とでやらしてもろてますけども」
「これ、え、始まってるんですか?」
「始まっとるで。足元動かしたらあかんよ、タイマー止まりよるからな。やっぱな、漫才知らんやんか影山は」
「正月にテレビで見たことあります、たぶん」
「それもう知らんて言うねん。とにかく、作り込んだネタやらできんやろ。漫才コント的なな、1個キャラ乗っけた漫才のほうがええと思うねん」
「何言ってるか全然分かんないですけど、ハイ」
「影山なんやりたい? 警察官とか、ハンバーガー屋の店員とか、なんか適当でええねんけど、やりたいのある?」
「俺はバレーがやりたいです」
「ちゃうねん。話聞けや。なに純度100%の影山出してきてんねん」
「ほかにやりてぇこととかないっす」
「融通利かへんな。バレー選手やな。ほんなら、俺に何か役割振ってみ。イメージでええから」
「宮さんのイメージですか? ……キツネ……っすかね」
「待たんかい」
「はい」
「キツネがバレー選手にツッコむっちゅうん? 荷が重いやろ。人間でギリギリや」
「でも、すげーキツネっぽいなってずっと思ってたんで」
「思ってたんでやあれへん。俺『コーン』しか言えんのと違う? 『コーン』一本槍で影山さばくん? シンプルに無理やで。ほかのにせぇ」
「あ、そういえば宮さんたち、この前田中さんの姉さんと何かやってなかったですか?」
「ブルゾンのこと? まあそういうのもあったけどな」
「あれって漫才じゃないんですか?」
「ちゃうし、それに影山、お前冴子さんの代わりやるんやったらめちゃめちゃ台詞量増えるで。覚えられへんって。なん言うてたか記憶にある?」
「えっと……この世に男が何人いるか、とか……35、6とか」
「35億や。どんだけ減らすねん。人類滅亡さす気か」
「さーせん、たぶん無理です」
「せやろ。けど、せやな……言い間違いする影山にツッコめばええ気もしてきたな」
「なんかラクそうっす。あざっす」
「あ~、子どものころって懐かしいよな。遊具やらでよう遊んだよな、ほら、あれ何ていうんやったっけ」
「どれっすか。タイヤですか?」
「どこの奇特な公園で育ったら一番にタイヤ挙げんねん。そんで『タイヤ』がスッと出てけぇへんやつがどんだけおんねん」
「いや俺タイヤすげー遊びました」
「聞いてへんわ。今のは素直にジャングルジム言い間違いパターンでええやろ。ブランコでもシーソーでもなんでもええけど、メジャーどころからいくんやって」
「はあ、ウッス」
「大丈夫かいなこれ。ほんで、せやな。タイヤのほか何で遊んどったん」
「グイングインとか。あれやり過ぎると落ちますよね」
「グイングイン知ってる感じでこんといて。なんや知らんけど多分お前が悪い」
「グイングインあるじゃないですか」
「どれや。落ちる言うことは乗るもんなん?」
「そうです。三角の、サドルみてえなのがあって」
「サドルはだいたい三角や」
「またがって、グイングイン揺れる」
「あれや、こうやって、ちっちゃい子んちにある木馬みたいなんして遊ぶやつ?」
「そうです!」
「そういえばあれ名前知らんな」
「三角……三角木馬?」
「あかんあかん何言うてんあかんもうグイングインでええわ、世界中がグイングインて呼ぶわ今後」
「どうしたんすか」
「無知こわいわ、烏野どういう教育してんねん。グイングインな。グイングイン」
「――あ、壁にドアが!」
「時間なったんか!」
「宮さん、あざっした! 俺、次までにもっと練習してきます!」
「もう絶対せえへん、やめさしてもらうわ」





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絶対入れるキーワード:キツネ、三角木馬、35億