intermission II

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煩悩供養2@HQ

EDのクライマー買いました!
大変よかった!美しい!


小説、今月中に1つは出せる~~とか言ってたのが怪しくなってきて若干焦ってます
本誌展開的にもかなり危ないので、マジふんばらねば!今6.5合目です


それはそうと、年末でありまして!
なので、今年考えたけど結局形にならなかった妄想をここで勝手に供養していきたいと思います。
あのー、108つ的な。誰得なんですけど聞いてください妄想!!
ひとまずハイキューから順に!けどボツはワートリのが多いというか、詰めてからボツってるんですよね~~~~orz
(1)は、女装喫茶で、結局書いちゃいましたけども
まだまだいっぱいあります、ボツ!!

・菅影卒業式話
(概要)スガさんの御卒業にあたり、影山くんがスガさんにお手紙を書く話。
(ボツ理由)スガさんの卒業がつらくて書けない

ポク、ポク、ポク、チーン……。
これの派生で、「スガワラカメラ」っていう、スガさん目線で影山くんとの1年を追った絵?漫画?みたいな案もあって、そっちは画力不足でボツに。

・牛影・日影人さらい話
(概要)牛島さんが影山くん(高1)を白鳥沢に連れていってしまう話
(ボツ理由)当時は白鳥沢セッターが3年と仮定してて、牛島卒業以降のために影山くんを引っこ抜く話で、日影のがメインでした。なんか、台詞だけ作ってたらしく
「強豪にいて、ちゃんと目立て。代表に来い。俺のところまで迷わずまっすぐ来い」(牛→影)っていうメモと「お前と離れてダメになんのは俺のほうだった」(影→日(※スタバでしゃべってる))っていうメモが出てきました。後者、こどちゃですな!!そういう趣旨の日影、というつもりだったと思うのですが、ちょっとこれは頭500字くらいで止まってしまって書けなかったです。あと結局白布くんが2年生で、パンチ効いてたので、まあ引っこ抜かないな!と自分で思ってしまいました。

ポク、ポク、ポク、チーン……。

・及影ゾンビ話(菅影臭もする)
(概要)及影と赤葦+影で、「男に抱かれないとゾンビになってしまう影山くん」の話
(ボツ理由)設定に無理があった。ステーシーっていう、15歳から17歳の少女だけがゾンビになるっていう話(物語?)がありまして、すごく好きなテーマで、それを影山くんでやりたかったんですが…。結局、ゾンビ設定とかイチから作ってしまってステーシーパロにはなり損ねてしまいました。ボツ最大の理由は、影山くんがバレーできなくなる描写をするのがつらかったせい…でも一応ハッピーエンドの予定でした。


…これ結構書いちゃってたので、そのボツ原稿を続きに貼って合掌します。
なむなむ…今読み返すと、ほんと設定にムリがあって細かいところがひどい(笑)
超ヒマな方は、よかったら…。


東京なんてさ、ゾンビだらけだよ。宮城を出る前、俺が上京すると聞いて友人の一人がそう言った。ただでさえ人多いしさぁ、なんかカラスも普通に街なか歩いてるらしいじゃん。お前、気をつけろよ。その究極他人な別れのあいさつに、自分が何て答えたか覚えていない。
宮城の俺らが東京をそう思うように、外国は日本をゾンビの国だと思ってるし、飛雄がゾンビに噛まれたのは宮城なんだし、頭悪い物言いだなと腹の中で思っていた。お前がバスでたまたま乗り合わせる奴がゾンビで、2週間前に付き合いだした年下の清楚系彼女がゾンビで、お前もゾンビで、かもしれなくて、今の世界はだいたいそんなものだ。
チケットを握り、改札を通る。新幹線で東京に向かう俺にとって大事なのは、飛雄がまだ生きているらしいという噂の真偽だけ。天気が悪い。真っ暗な夜の街に横向きの雨粒を刷きながら時速300キロの視界が流れていく。

確か最初にゾンビが出たのは5年くらい前の、秋ごろだった。最初はそこそこ騒がれて、テレビの話題がそれで持ちきりになっていた時期もある。半年くらいネットも盛り上がった。
でもそれもすぐ終わった。ゾンビ――正確には、「屍柵」と呼ぶと政府が決めたその「死なない屍」が、そんなに強大な敵でないことに皆気付いていったからだ。噛まれてしまってはひとたまりもないが、機動力に欠けるため走れば振り切れるし、どこかの偉い科学者が発明したとかいう、対屍柵スプレーを吹きかけるとやつらは全然動けなくなる。今では町のいたるところにスプレーが配備されて、それで、俺たちは気を抜いて暮らしているわけだ。
ゾンビがぽつりぽつりと姿を現すようになっても、この国は変わらなかった。いや、法律ができて、保安組織ができて、国の制度は変わったのかもしれないけど、少なくとも俺の生活は以前と変わらず静かなままだった。隣の町で誰が死んでも不思議と現実感はなくて、正常性バイアスのかかった頭が「そうか」と受け入れてしまうだけ。そして、慣れた。
「飛雄が噛まれたらしい」というニュースが俺の耳に入ったのは、事件の日から1週間くらい経ってからのことだった。
冗談でしょ、と取り合わない俺をなかば無理矢理に呼びつけたのはメガネくんだった。なんでって聞くと忙しい3年生の代わり。と分かりにくい返事で躱される。
半信半疑で烏野を訪れてみれば、たしかに飛雄がいない。代わりに、死人みたいに蒼白な顔をした部員たちがいた。中でも特にひどい顔色をしていた菅原を見て、「飛雄がいなけりゃ君はレギュラーになれるのに、どうしてそんなにつらそうなの?」と言いかけて、かなり危ういところでこらえた。たぶん、この男は自分より随分心がキレイなのだろうなと思ったからだ。居心地が悪くなってそそくさと体育館をあとにしたとき、ふと校舎脇に停めてあった車のサイドガラスを見た。そこには世界中の絶望を掻き集めたような情けない顔の男が映っていて、そのとき初めて、俺はゾンビを恐ろしいと思ったのだった。

東京駅に降り立ったときには、もう日付が替わろうとしていた。俺は腕時計を確認し、案内板を頼りに在来線の乗り場を目指す。今手にしている情報はあまりにも詳細さを欠いているのだけど、ひとまず目指す先は新宿だった。年季の入った電車。途切れない人波。新宿か。ずいぶん、飛雄には似合わない町だと思った。



東京という行き先を俺が得たのは、帰り道で待ち伏せをしてきた菅原の情報のためだった。飛雄が姿を消してから季節が一つ移ろった2月初頭のことだった。
影山が屍柵に噛まれたと噂がたったのは確か12月の中頃だったから、もう3か月ではないかと思い及川は指を折る。その指の動きを見て、隣に座っていた男が「おかしいよな」と頷いた。

「それ、ほんとに飛雄?」

菅原はかぶりを振る。「俺が見たわけじゃない」、「ただ似てたって、クラスの奴が」。東京で見かけたのだという。東京のどこ、と尋ねれば、新宿、と言う。

「見てないっていうなら、俺は飛雄が噛まれたのも見てない」
「そうだな。でも、影山の両親が亡くなったのは本当だ」
「どういう経緯で?」
「詳しくは分からないけど、保安部隊が武装して影山の家に入ったっていうから、屍柵がいたってことなんだろ。父親が出張から戻ったばっかりだったっていうから、そっちを疑ってる人が多いけど」

屍柵、要するにゾンビが出ると、公安局の保安部隊が保護に乗り出す制度になっている。生きた屍と化した者たちを保護して隔離地帯へ連れて行き管理する。もともと「屍柵」というのはソンビを隔離するための分離柵のことを意味していたが、時間とともに次第にゾンビそのものを指すようになっていった。
公安局が死なない屍を牢に繋いで管理し、急速に広まりつつあるこのゾンビ禍を解決するための研究に役立てる。――だがこれは表向きの話で、保安部隊の仕事は、もっぱら屍柵の解体処分である。「死なない」といっても頭と体が切り離されればさすがに活動を停止する。保護すればするほど治安リスクの増す屍柵を連れ帰るより、現場の最高位者の判断があらゆる規範に優先する「周囲の人及び財産に著しい損害を与える危険が認められた」状況だったことにしたほうが利益が大きいとして、その場で処分してしまうことが極めて多いのである。

「爽やか君は、なんでわざわざ俺を呼びつけてそんな話するわけ」

爽やか君と呼ぶにはどうにも血色の悪すぎる男が、及川を見て皮肉っぽく口元を歪めた。

「何言ってんの? 及川が一番ショック受けてたじゃん」
「……冗談でしょ」
「冗談なんて言ってない。影山ともう戦えないの、ショックだったんじゃないの」
「別に、そこまで肩入れしてない」
「誤魔化すの? じゃあ、もっと痛いところ突こうか? 影山が今生きてるとしたら、それはどういうことだと思う?」

及川は目を細め、口の内側を噛んだ。
屍柵に噛まれた人間は、みずからも屍柵となる。数十秒で変わってしまう者もいるし、数週間半端な状態でさまよう者もいるが、遅くとも1か月以内には皆変質を遂げる。
噛まれたがまだ屍柵となっていない、ゾンビ未満の人間は俗称として「カラス」と呼ばれていた。もう人ではないことや、敬遠され、死肉をあさるといったイメージからその名がついたのだというが、本当のところはどうだか知らない。
及川は、そのカラスにも2種類あるのだという通説を思い出し、顔をしかめた。

「クローとレイヴン……」
「影山は、レイヴンだったのかもしれない」
「待ってよ、確かに飛雄は15……16歳だけど」

戸惑いを隠しきれない及川に菅原が一瞥くれる。及川は、最新のカラス研究の成果とされる、ずさんな帰納法の論文の一節を脳内でなぞった。
カラスとなった者のうち、15、16、17歳の少年の一部に特殊な事例が報告されていた。彼らがどのように生まれるのか、そのアルゴリズムは一向分からない。しかし。

「レイヴンは自分を噛んだ屍柵と同性の人間と交わっているかぎり、カラスのままでいられる。それが、一般に言われていること。それで今、俺とお前は同じことを考えてる」
「……」
「及川が、影山のことを好きだったかどうかは知らない。でも一応、耳に入れておこうと思って」

そこまで言って、菅原は立ち上がった。
咄嗟に否定を差し挟もうと顔を上げた及川を、菅原は薄い笑顔でねじ伏せる。

「会えたら伝えておいて。どんな手を使ったとしても、俺は影山に生きててほしいって」
「まっ、待ってよ!」

自分だけ言いたいことを言って、どこかすっきりしたように去っていく菅原に及川は慌てて声をかける。腰を上げた拍子に、脚の上のマフラーと鞄が冬枯れの乾いた地面に落ちた。

「菅原は、それでいいの」

菅原は立ち止まり、「俺は及川とは違うよ」と苦い笑みを見せる。眉を跳ね上げる及川に、彼はふと破顔した。

「いや、どうかな。俺、一回、影山が死んだの受け入れちゃったからさ……自分と、よく相談する」

まるで、及川が影山の死を受け入れていなかったかのような口ぶりだと思った。落としたマフラーが足に引っかかって、まるで影山への未練みたいに及川に絡みついていた。